昨日あれだけ嫌味を言っから、芹はもうここには来ないと思っていた。
 

だが何故か、今日もここにいる。
 
それがよくわからない。


ただキスされたものの、好かれていないことぐらいはよくわかっている。

 

話をしたいわけでもない、不登校や教室にあまり入りたがらないという話も聞いたことがない。
 

ならば、しばらく自由にさせてやるしかないのだろう。
 
昨日今日の行動を見ていると、何かしら自分の中に溜め込んでいるのは違いないだろうと考えていた。


「素直になれない、っていうのも損な性格よね」
 

聞こえないぐらいの声で呟き、今日一番の大きなため息をついてから、律は備品のチェックをしようと立ち上がる。

 

暖かい日差しに規則正しい寝息が、妙に調和して保健室をのんびりとした雰囲気で包んでいた。