「ヨク。甘く思っちゃ駄目だよ。多分ヨクが想像してる以上に厳しい追いかけっこになると思う。」

「あ・・・・うん。ねぇ、雫。もう8時だよ」
「あっ。じゃ出発しようか。今からA町まで走るけど、はぐれちゃだめだよ」

「う・・・・うん。」


「じゃ。」

そう言って、隣に座っていた雫の体が離れた。

そして、走り出・・・・・・・・・・・・って・・・・・・・・・・










速ッッッ!!!!!!







ちょ・・・・待って、雫・・・・!

「ま・・・待って・・・・」
どうやら、雫の耳には聞こえてないらしい。どんどん雫は遠ざかる。

「待って!雫ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

ようやく雫は止まった。

「どうしたの?」
「雫、ごめん・・・・・。速い。」

雫は驚いた様子でヨクを見る。

「じゃ、ヨクが前を走って。A町までよ」

A町・・・道順は知ってる。

そうして、ヨクは走りだした。

そう、マラソンペースで。

後ろをチラッと振り向くと、なんと・・・・・・・・・・

「ヨク、それは遅いよ。」

雫歩いてるー!?そそそそそうか、走るのが速けりゃ、歩くのも早いよな・・・・