さすが、冬。 強く冷たい風が、 体を突き刺して、痛い。 「おはよ。」 恭はもう家の前に来ていた。 鼻が赤い。 結構待ってたのかな。 「ごめんね。寒かったよね。」 決まり文句。 だけど、少しは悪いと思ったよ。 「んーん、大丈夫。俺男だし!」 前は、そう言ってはにかむ恭に どれだけときめいただろう。 どれだけ満たされただろう。 今の杏はどうしちゃったのかな。 何も感じないよ―――。 ごめんね、恭――――。