その時、俺はようやく彼女の本心を知った。


 彼女は、俺の笑った回数を数えていた…


 身体の芯からから熱いものがこみあげ、それはやがて全身に広がった。


 俺はこのとき、離れてもなお優しく包み込んでくれる、そんな愛があることを知った。


 『確かに愛し合った』その事実だけで、自分は世界で一番幸せ者だと、そんな風に思わせてくれる愛があることを知った。


 傍にいるだけが、“愛の形”ではないということを知った。








「それ、どうしますか?」


 さっきの捜査官が聞いてきて、俺は我に返った。


「これは…事件に全く関係ないからいいや。」


 そう言って、俺はその紙を自分の上着のポケットに入れた。


「そうですか、わかりました。」


 そう言うと、彼はまた寝室へ戻っていった。