それでもほとんどの車は、颯爽と走り去って行った。


 れんはそんな光景が可笑しくてたまらないように、狂ったように大声で笑った。


 俺はそんなれんを冷ややかに眺めながら、


「ナンバー**-**だ。**-**を追え。」


 れんに気付かれないように、囁いた。






 車が出払うと、今度は倉庫内に警官達がなだれ込んだ。


 れんの部下達が、俺とれんの前に立ちはだかり、警官達と銃撃戦を繰り広げた。


 その隙にれんは倉庫の裏口から脱出し、俺もそれに続いた。


 すべては計画通りだった。


 が、裏口を出たところでれんを見失った。


 けど問題はない。


 どうせれんが目指すのは、倉庫が立ち並ぶ区画を抜けた先のオフィスビルだ。


 俺もそれを目指し倉庫と倉庫の間の通路をひたすら走った。


 途中で人影に出くわし、俺は反射的にその人影に向かって、片手で銃を構えた。


 同時にその人物も同じように片手に持った銃を俺に向けた。







 れんだった。







 れんは俺だとわかると、フッと張り詰めていた気を緩め、銃を下ろした。


 が、俺の方は頭の中に突然、あの日れんに乱暴された彼女の、全裸で死体のように横たわる姿が鮮明に甦った。