追憶のマリア

 次の瞬間、れんは背中に隠し持っていたリボルバーを抜いた。


 たちまち壮絶な銃撃戦が勃発。


 何人もの優秀な警官が銃弾に倒れてゆく中、俺は為すすべなくその場に伏せていた。


 ここで命を落とすわけにはいかなかった。


 加勢したところで、この状況が覆らないのは明らかだった。


 俺は伏せながらも、ほんの少し顔を起こし周りの様子を窺った。


 藤堂とそのボディーガードが、れん達と特殊部隊との攻防戦を尻目に、ブツと金の両方を奪って颯爽と現場を離れていくのを俺は確認した。


 そしてれんに目をやると、れんは右肩を打ち抜かれて、壁にもたれるように足を投げ出して座っていた。


 傷口を押さえて、荒く息をし、そのせいで肩が遠めに見てもわかるほど上下運動を繰り返していた。


 俺は飛び交う銃弾を避けるように、身を低くしてれんに近付き、


「おい、大丈夫か?俺につかまれ。」


 そう言って、右肩を押さえていたれんの左腕を、俺の首に巻きつけた。


 れんはまだ泳がせなければならなかった。


 それは任務だから。


 今の俺はただ、任務に従うのみだった。