追憶のマリア

 俺はれんと組んで仕事をするようになった。


 れんの取引に付き添ったり、殺しの依頼を引き受けたり。


 そうして俺は警察が喉から手が出るほど欲している情報を、次々と入手し特捜部に流した。








 藤堂との一件は失敗だった。


 藤堂はありとあらゆる犯罪に手を染めた、裏の世界の大物だった。


 売春、銃器密売などで荒稼ぎし、麻薬ブローカーとしても手広く商売していた。


 そんな藤堂と、れんが取引するという情報を俺は特捜部に流した。


 特捜部の戦略は、特殊部隊が取引現場を包囲し、俺の合図で突入するという段取りだった。


 藤堂生け捕りが目的だった。


 ブツと金が出揃ったところで、俺は2回咳き込んだ。


 突入の合図だ。


 それが引き金となって、現場に特殊部隊がなだれ込むように侵入し、揃った動きで銃を構えた。


「両手を頭の後ろで組み、全員その場でひざまずけ!!」


 特殊部隊の一人が叫んだ。


 俺はもちろんすんなり従った。


 藤堂とその仲間達も同じように毒づきながらひざまずいた。


 れんは


「何だよこれ…?」


 失笑して呟き、両手をゆっくり頭の後ろへ回した。