そして浴室で再びシャワーを浴びた。


 伸ばした両手を広げ壁を押すように壁に手をつき、その腕に体重を預けてうつむき、強く打ち付けるほどの水圧のシャワーを、首の後ろに受け続けた。


 窪田は泣いた。


 今、自分の心を埋め尽くしている幸せに泣いた。


 自分の中の、母を激しく求める人間らしい感情に泣いた。




 母は、窪田に愛され、未だに火照っている全身を…窪田に隅から隅まで隈なく愛された全身を、もう汚いとは思わなかった。


 窪田が愛してくれたから、自分自身も、自分を愛せると…そう思って救われた。









 それっきり…


 母と窪田は二度と交わることはなく、元通りの、ただの同居人に戻った。


 お互いの気持ちは確実に変化していたけど、二人ともそれをおもむろに出すようなことはしなかった。




 ほんの束の間、穏やかな日々が続いた。







 でも決戦の日は着実に近付いていた。