追憶のマリア

 再び棚に向き直り、3段目の引き出しを開けた。


 消毒や脱脂綿、包帯など傷の処置をするための道具が入った箱を見つけた。


 その中には縫合セットなど医療器具レベルのものまで乱雑に混ざって入っていた。


 『いったいどこで手に入れるんだろう…』


 母は不思議に思いながらも、その箱を手にしてツヨシの元へ戻った。


 母はすぐに手当てはせず、苦痛に必死で耐えるツヨシに、引き出しから持ち出してきた俺と母の写真を突きつけた。


「どうしてこれを、あなたが持ってるの?」


 母は責める口調でツヨシに言った。


 ツヨシは薄目を開け母を見た。


「それ…あんたに…返すよ…」


 必死に言葉をしぼり出した。


「ごまかさないで!ちゃんと説明して。それまで…それまで手当てはしないから。」


 瀕死の状態のツヨシを責め立てた。


 母は自分の残酷さに自分自身驚いた。


 ツヨシはフッと意識を失いかけ、それでも必死に意識を保とうとし、その狭間でもうろうとしながら話し始めた。