追憶のマリア

「確かに俺がアイツの頭をブチ抜いた。」


 ツヨシはいつもどおり、凍てつくほどの冷静さで答えた。


「確実に息の根を止めた。あれでもし生きてたら、藤堂は化けもんだ。」


「おかしいよなー、こんだけ周りがパクられて、俺らだけサツの手が回ってこねぇなんて。」


 そう言いながらゴールドヘッドは、ツヨシの心中を探ろうとするかのように、鋭い視線でツヨシを射抜いた。


「ツヨシ…。オマエはこの状況、どう見る?」


 ツヨシはゴールドヘッドをチラッと横目で見やって、再びテレビに視線を戻し、


「俺らは警察に泳がされてる。」


 とゴールドヘッドが求めている答えを口にした。


「だよなぁ。」


 ゴールドヘッドは満足そうに頷き、


「そして情報をサツに流しているヤツがいる。」


 と付け加え、挑発的にツヨシを凝視した。


 ツヨシは『うんざり』といった様子で軽く息を吐くと、上半身を億劫そうに捻ると、ゴールドヘッドへ向け、彼にその鋭い眼光を投げた。


 二人はほんの束の間、ものも言わずに視線を合わせていた。


 お互い、相手の心の内を読もうとしており、その間、ピンと空気が張り詰める。


 ツヨシは両肘を自分の膝に引っ掛け、胴体を前倒して自分の顔をゴールドヘッドの顔に近づけた。


 そして静かに口を開いた。


「れん…、俺はオマエのことが心底嫌いだ。けど俺達は仕事のパートナーだ。好き嫌いは関係ねぇ。食ってくために、俺にはオマエが必要だ。だがもしオマエが俺を疑うなら、金輪際、俺はオマエとは組まねぇ。オマエの代わりなんか、探しゃいくらでもいるんだよ。」


 言い終わるとツヨシは、乗り出していた身体を引き、再びソファーの背もたれに自分の背中を預けた。