少し睨むと、羽瑠は笑った。

「近くで喧嘩あったらしいけど、お前だろ?」

「…嵐でも起こったんじゃない?」

「ま、どっちでも良い。んで、どこ行くんだよ。」

「知らない。」

投げやりに答えると、羽瑠は急にエンジンをかけた。

びっくりしてそっちを見ると、得意気な顔をしている。

「ラーメン屋行こうぜ。勿論、お前の奢りだけどな。」

「妹から金巻き上げんの?」

「兄貴をパシリに使うのはどこの妹だよ。」

くだらなすぎて笑えた。

てゆーか、あたしはよくよく考えると店に入れる格好じゃなかった。

Tシャツが半分くらい真っ赤に染まっているし。

「…着替えない?」

「あー、後ろになんかあんじゃねぇの?」

あたしは後部座席に身を乗り出して、服っぽいものを掴む。