高校生を見たら、まだ立っている男に、足を掛けられそうになった。

あたしは鳩尾に蹴りを入れる。

二人とも呻き声を上げてもう動かなくなったから高校生の近くにしゃがんだ。

「…やっぱタキ。」

「ナルちゃん。人が変わったみたいだね。」

タキは口の端を切っていて、目の下に赤い痣があったけど大丈夫らしい。

「…なんで助けた?」

起き上がる気はないっぽくて、横たわったままあたしに問いかける。

それは、馬鹿馬鹿しい質問で。

「強い人間が弱い人間を助けるのに、理由がいるの?」

嘲笑いながら小首を傾げる。