夜道を歩いた。

繁華街の裏道に入って、辺りを見回す。

沸々と体の底から湧き上がる怒りだか何だかに、あたしの体は耐えられないらしい。

ガッと何かが蹴られる音がする。

色のない目でそっちを見ると、高校生くらいの男が横たわっている。

近くにどこかの族であろう男二人。

…丁度良い。

そんな事を思ったあたしは人からかけ離れていっている。

あたしは静かに、二人の男の背中を蹴った。

「…にすんだ、てめぇ!!」

下から聞こえる声に、怯む必要も耳を傾ける必要もない。

「…ナルちゃん?」

動かないな、と思っていた高校生から声が聞こえた。