勝ち誇った笑みを浮かべる良壱を睨みつけて、地べたに座る。

「夏弥が呼んでる。」

どくん、と心臓が跳ね上がった。

何かあったのか。

それとも…。

直ぐにあたしは立ち上がり、部屋の方へ行こうとする。

「…那瑠。」

後ろから呼び止められて振り返った。

「この前の昼、どこに行ってた?」

さっきのおふざけとは違い、見据えたような目はあたしを捕らえていた。

「…昼?」

「男といただろ。」

身が、硬直するのを感じる。

何故良壱があたしとタキが一緒にいた事を知ってる?

「いない。」

「いた。街外れのカフェに入ったらしいじゃねぇか。」

「…着けてた?」

「そこで見た。」