「…行ってくる。」

あたしはあんたの妻じゃないよ。

頭をトントンと優しく叩かれて、良壱は背を向けた。

「行ってらっしゃい。」

その背中に小さく呟く。

一人になっても、寂しくはなくなった。

「わー、久しぶりな感じだね。那瑠。」

後ろから声をかけられて振り返る。

…え?

「な…夏弥?」

「誰だと思った?」

優しい物腰で喋る夏弥はさっきまで良壱が座っていた所に座る。

「あれ?良壱は?」

「何…言ってるの?」

訳が分からない。

夏弥は、あたしの顔を見る。

「だってチームの事で、探しに行ったんでしょう?」

あたしは困惑した。