「あ。ここで停めて。」

あたしは倉庫に向かう少し前の場所で言う。

「良いけど、傘無いんでしょ?」

「行く場所変更。」

そう言うと、亜美は後ろのシートへ乗り出して、ビニール傘をこっちへ差し出す。

「安いのだから、持っていって良いよ。」

見るからにコンビニで買えるような物。

「ありがと。」

人の好意は断らない。

車からおりて、倉庫に向かう少し前で裏道に入った。

歩けば、建物の裏口がある。

あたしはそこに入った。

中は、クラブの裏になっていてド派手な曲が漏れている。

溜め息をついて肩をすくめた。