春って人をボケさせるようであんまり好きじゃない。

日曜日、良壱のベッドの中で小説を読んでいた。

あたしにしては朝早くに起きた方。

ずっと自分のマンションには帰っていない。

羽瑠も帰っていないみたいだった。

寝返りをうった隣の良壱は寝てる。

…と思ってた。

「…起きてる?」

急に抱き寄せられて心臓が跳ね上がり…心臓が痛い。

返事は返って来なかった。

あたしは諦めて、小説を閉じる。

少し開けたカーテンも閉めて、二度寝をしようと試みる。

目を閉じる前、額が良壱の額にぶつかった。

これはもしや…と気づいた時はもう遅い。

完全に唇を塞がれる。