学校の裏庭には、たまに猫がいる。

あたしが初めてこの学校に来た時も猫の鳴き声を聴いた。

鮭のおにぎりを裏庭で食べていると、猫がすり寄ってきた。

その猫に鮭を少し分けてあげる。

「…良壱。」

黙って隣で煙草を吸う良壱は少しあたしに視線を向ける。

「携帯、鳴ってる。」

良壱の学ランのポケットを指差しながら言った。

舌打ちをしながら面倒そうにそれを取り出して、立ち上がる。

……あの日以来、夏弥も良壱も忙しくなった。

あたしはソレを傍観者のように見ていた。

ここ最近、夏弥は学校に来ていない。

溜め息をつきながら、猫の頭を撫でる。

生徒に食べ物を貰ってるからか、白い毛並みが美しかった。