「あ、猫。」

不意に良壱の声がして、そっちを向く。

…は、嵌められた。

軽く唇が重なる。

「…あたし、近いうちに詐欺られるかもしれない。」

少し心配になる。

その様子に、フッと笑って良壱が返した。

「そしたらまた詐欺仕返すんだろ。」

褒め言葉と受け止めた。

「行きたいとこは?」

普通のデートは映画館に行ってから、何をするんだろう?

あたしは周りを見回した。

夜と昼じゃ、全然景色が違うこの街。

「ゲーセン。」

「分かった。」

いつもの繁華街に行ってゲーセンに入る。