あたしの視線を感じてかこっちを向かない。

「…ね?こっちから隙がありすぎなんだけど。
左頬でも殴ってあげようか?」

にっこりと偽善じみた笑顔を見せて言う。

そんなの効かない。
きっとあたしは殴れないし、良壱はすぐに止める事ができるはず。

でも、良壱はこっちを向いた。

「言いたくないんだけど。」

「何で?」

「…お前、怒りそうだから。」

やはり、女が。

「女じゃねぇから。」

想像をストップさせて、あたしはハッと我に返った。

良壱がこっちに手をのばして、抱き締めた。