言葉でなら、いくらでも綺麗な事が言える。

けれど、世界は想像以上に冷酷。

幼い時、なりたかった将来の夢になれるなんて一握り。

それでも、あたし達は生きていかないといけない。

なりたいモノが、手に入らなくても。

前に進むしかないんだから。

「ナルちゃんはやっぱり良壱を取ってくんだ。」

タキは、今度は冷たくない声で話す。

「でも、知ってる。こんなやり方は間違ってること。」

その言葉に、良壱はあたしの涙を拭ってタキの方を向いた。

「俺は東街(そっち)には帰らない…けど翔と争うのはもういい。」

「同感。」