「あたしが言える事じゃないけど。」 良壱の腕から手を離す。 それでも、その腕はタキに振り上げられる事はない。 「暴力じゃ何も解決しない。」 本当に暴走族のあたしが言える事じゃないけど。 「力で解決すんのは汚い大人がする事じゃん。勝って、優越感に浸る。」 「…那瑠。」 「人と向き合って話さないと、同じ事が続く。」 俯いていた顔。 「那瑠。」 静かに頬に触れる良壱の指。 「泣くな。」 恐れたように震えた声が聞こえた。