「…誰だ、ソレ。」

「あたしが知る訳ないでしょ。そういえば、羽瑠って彼女いるの?」

「世界中の女が彼女。」

…この女たらしが。

教室に向かい階段を上った。

羽瑠は記憶力が悪いのかすっとぼけているのか…それっきり何も言わなくなる。

教室に入ると、二人はこっちを向いた。

「なんだ、その顔。」

羽瑠は可笑しく楽しく笑う。

夏弥の顔らしい。

昨日の喧嘩で顔に傷が付いている。

「昨日、予告なしに追い込まれたんです。」

「男前が台無しだな。て事は、那瑠の予測が外れたのか?」

あたしは元の椅子に座り、羽瑠は机に乗った。

「まだ那瑠は入ってなかったから、口出してねぇんだよ。」

良壱が言う。