あたしはキョトンと夏弥を見てると、無言の笑みが返ってきた。

「え?え?」

聞いちゃいけない事だったのかと思い、良壱を見る。

「大家と喧嘩して追い出されたらしい。」

馬鹿にしたように笑い、煙草をくわえる。

「…夜遅くに帰るなとかバイク置くなとか、うっさいから。」

あまり話したくない事だったのか、夏弥はそれだけ言った。

そりゃ…大変ですね。

心の中だけで相槌を打った。

林檎の皮を剥き終えて、皿を夏弥に渡す。

「ありがと。そういえばさ、ここどうしたの?」

「…転んだ。」

あたしの腕を指差す夏弥にとっさに考えた嘘を吐く。