バイクで校門の前に止まる。

おかしいと一瞬でわかった。

…静か過ぎる。

思わずその場に立ち尽くしてしまった体を、良壱は後ろから優しく押してくれた。

いつもは雑音で溢れかえる廊下。

「…。」

目を見張った。

人が倒れている。

あたしがこの前、タキを助けた時の人数なんて比にならない。

女子は数人がうなだれて泣いているか、手当てをしているか。

殺人鬼が去った後みたいだった。

重傷の奴より軽傷の奴が多いみたい。

「…夏弥…。」

自然と口から零れていた。

良壱はその言葉に反応して、階段を駆け上がる。