溺愛コンプレックス

遠回りして家につくと、カナメが玄関で待っていた。

「ツバキ、今日どうしたんだよ突然」


カナメは少し怒っていた。困っているようにも見えた。

「私、がんばる」



「は?」



不思議そうに私の顔を覗き込むカナメ。


「もうカナメのお荷物にならないように、がんばるからね!」


そう大声で言うと、階段を駆け上がり、自分の部屋に閉じこもった。

鍵を閉めたドアの向こうでカナメの声がする。

「ツバキ!どうしたんだよ!学校で何か言われたのか?!」


私は黙ってベッドに潜り込んだ。

はやく自分のことちゃんとできるようにならなきゃ…。


「今日のツバキなんか変だぞ!何で何も言わないんだよ!」


カナメがドアを叩く。
お母さんがそれを制止して、ようやくカナメは静かになった。


カナメ…ごめん!