溺愛コンプレックス


「そんなことより、先輩こそ何フラフラしてんですか!」


俺は走り込みだ、と踏ん反り返る。


「じゃあチャッチャと走る!っていうか剣道着ってクサい!」

「青春の香りだ。じゃあな」

そう言って走り出したレン先輩だが、一度立ち止まって振り返る。


「一人で帰れるか?」


ムカ!絶対ばかにしてる。


「失礼な!私だってもう高校生なんですからね!」


「生活能力は5歳児並みだけどな」


そう言うと、走り去っていた。


私はさっき感じてた孤独感が、少し和らいだことに気づいた。

もしかして先輩のおかげ…?