けど、拓は自分の大学の勉強がある。



私が寝た後に、たまに夜遅くまでやってることを、私は知ってるもの。




拓の邪魔はしたくない。




そんな思いで、拓の好意に首を振る。



『俺の心配は要らないよ。一週間、自習しなくても俺は大丈夫だから』




ま、確かに拓の頭なら大丈夫なのかもしれないけれど。



どうしようかと戸惑っていると、秀くんが口を開いた。




『兄さま、さすがに一人で一日中、姫百合の勉強を見るのは大変だと思います』




そして、「だから…」と言葉を続ける。




『だから、俺も姫百合に勉強教えてあげます。交代で』




ね?、と雛罌粟のように、可愛い笑顔を拓に向ける。



私には見せてくれないのに……なんて思わずムッとする。




そんな私に誰も気付かずに、話が進んで行く。