『お前には必要ないよ。まだ、知らなくていい』 そう言って、私を瞳に映す。 私が首を傾げると、秀くんは、ふっと微笑んだ。 花水木の花に劣らない、美しさで。 私には必要ない? まだ、知らなくていい? 気になって仕方ないけれど、秀くんがそう言うなら、気に留めずにいるわ。 私は瞳を白い花に映す。 光を浴びて、柔らかく咲く。 この花水木が、紅葉に染まるとき、私たちの心は何色に染まっているのだろうか。