『花はもう終わるけど、秋につける赤い実と、紅葉もとても綺麗なんだ』 ─────秋。 まだ夏も来ていないから、何とも言えない。 けれど、西条の花水木。 本当に美しいんでしょうね。 『秀くん』 『何』 『秋になったら、一緒に紅葉見ようね』 小さな約束。 けれど、それが大きな力になる時がある。 だから誓う。 秀くんは答えなかった。 少し赤く染まった頬が、答えを示しているけれど。 恥ずかしい、と俯く。 そうやって感情を露骨に見せてくれる。 それだけで、嬉しい。 たまらなく。