静寂が、私たちを包む。 でも、鈍色ではない。 辺り一面の若葉色。 落ち着いた、その若葉。 そして、高く広がる空色。 何もかも、吸いとってくれそうな、無限な空色。 どこまでも、限りなく。 『空ってね、不思議なのよ?空を仰いで、深呼吸すると、どうしてか、落ち着くの』 そう言って、優しく身体を離す。 やっと、顔が見えた。 その顔は、何も考えていないように、ぽけっとしている。 力なく、無防備に。 それを見て、柔らかく微笑む。 次いで、空を仰ぐ。