『いちいち、うるさいんだよ。分かったような振りして』 秀くんは、ギュッと私を抱きしめ返す。 苦しい程に、強く。 『大丈夫』 その力に、抗うことなく、言葉を落とす。 私が、支える。 『何が、大丈夫、だよ。お前はどうせ、兄さまの……』 『私が支えるもの。拓も、秀くんも』 小さな救いに成りたい。 西条の期待を背負う、彼らの。 秀くんは、黙ったまま。 ただ何かを考えている。 『力に成りたいのよ』 例え小さくても、弱くても。 とにかく、力に。