秀くんは、私の言葉にむっとすることなく、次の言葉を放つ。 淡々と。 『普通じゃないね。俺は西条の育ちだけど、学校は公立中学なんだから。一般人なんて、嫌気が差す程見てるし』 あ、と思う。 そうだった。 秀くん、私の隣の学校。 南中学校だったわ。 今更ながら、疑問が湧く。 『ねえ、何で南中に通ってるの?西条家なら、私立とか行けば良いのに……』 ここまで言って、言葉を濁す。 余計な迷惑だったかしら、と思って。 案の定、秀くんは黙ってしまった。 そっと、俯く。 重い鈍色が、のし掛かる。