「ただいまー」
ここはギルドの二階にある、個室。
個室とは言っても、あるのは机と椅子のみ。
使用する頻度も時間も少ないので、経費がかからないようにしてあるらしい。
まったく、この国は密偵をなんだと思っているのか。
小一時間問い詰めたい。
「おかえり」
椅子に座って本を読んだまま、シサが答えた。
金髪の頭の上に、司祭専用のティアラを乗っけている。
「今日は教会の仕事があったの?」
「いや、気分。今日は休む日だから」
「……そう」
だったら、人身売買の防止を手伝ってくれれば良いのに。
そんな怨みが篭った目を向けてみたが、シサは気が付かず、何も反応を見せない。
「…………はぁ」
思わずため息が出た。
「ため息をつくと運が逃げるわよ。吸いなさい。」
真面目な顔で本を読みながらそんな事を言うシサ。
釈然としないものを感じるが、とりあえず深呼吸してみた。
何となく肩の力が抜けたような気がするが、運が戻ってきたかは定かでない。
「それで、人身売買はどうなった?」
「防いだよ。ただ、ちょっと根が深そう」
シサはパタンと本を閉じて、赤い瞳をこちらに向けた。
ここはギルドの二階にある、個室。
個室とは言っても、あるのは机と椅子のみ。
使用する頻度も時間も少ないので、経費がかからないようにしてあるらしい。
まったく、この国は密偵をなんだと思っているのか。
小一時間問い詰めたい。
「おかえり」
椅子に座って本を読んだまま、シサが答えた。
金髪の頭の上に、司祭専用のティアラを乗っけている。
「今日は教会の仕事があったの?」
「いや、気分。今日は休む日だから」
「……そう」
だったら、人身売買の防止を手伝ってくれれば良いのに。
そんな怨みが篭った目を向けてみたが、シサは気が付かず、何も反応を見せない。
「…………はぁ」
思わずため息が出た。
「ため息をつくと運が逃げるわよ。吸いなさい。」
真面目な顔で本を読みながらそんな事を言うシサ。
釈然としないものを感じるが、とりあえず深呼吸してみた。
何となく肩の力が抜けたような気がするが、運が戻ってきたかは定かでない。
「それで、人身売買はどうなった?」
「防いだよ。ただ、ちょっと根が深そう」
シサはパタンと本を閉じて、赤い瞳をこちらに向けた。