外から見た病院に別段変わった様子は無かったが、中に入ってみると重苦しい空気が漂っていた。


何事だろうかと思いながらミュの病室に行く。


そこで、理由が分かった。


ミュの病室の前だけ警備員が三人待機している。


第一種戦闘配置だ。


「これはどうしたんですか?」


身分証明書を見せながら、近くで直立していた警備員に聞いた。


警備員は証明書をじっと見たあと、敬礼をする。


つられて敬礼をかえしてしまった。


後ろに控えていたシサの苦笑が聞こえる。


「ミュが自殺を何度も試みることと、暗殺をさけるためであります」


若い警備員は真剣な表情で答えた。


「…………襲撃とかあった?」


「いえ、ありません。むしろ自殺を止めるので手一杯であります」


「…………なるほど。分かりました。頑張ってください」


「ありがとうございます」


警備員は敬礼をする。


再びつられそうになったが、なんとか右手を額にまで持っていくことは阻止した。


「中に入るよ」


シサに声をかけてから、ドアノブを回した。


中には怖い顔をした警備員に囲まれたミュがいる。


ミュはどうやら眠っているようだが、その目の下には隈が出来ていた。