11年前の春…

  私達は兄妹になった。


 私は…あの日から

   いけない…恋を

    してしまった。



「繭、今日から新しいお母さんとお兄ちゃんが出来るんだよ。」

それは、突然の話だった。
もちろん当時の私には驚きと衝撃は大きかった。


「本当…?お父さん!私にもお母さんとお兄ちゃんが出来るんだぁ!」

でも、それ以上に、“お母さんが私にも出来る”“兄という存在が出来る”ということへの嬉しさの方が大きかった。


ずっと、憧れていたから。

お母さんがいて、お父さんがいて、兄弟がいる“家族”に。



私の母は、元々身体が弱くて私を産んですぐに、亡なったらしい。


だから、私は母の顔も、声もなにも覚えていない…。




「今日の夜は、新しいお母さんとお兄ちゃんとご飯食べに行こうな。」

「うんっ!」