朝起きて 269枚目の 日捲りを 破り取る…。
『あー、確実に 季節は移って行く…。』
 無意識の感覚に 意識を向けてみた。
 私の襟足に当る日差し…。
焼き焦がされそうな 痛みを帯びた熱は 感じられず、皮膚を 程よい温かさが覆っている。
 私の体に当る風…。
使用後のバスルームの 淀んだ空気に入り込む、クーラーの冷気のような 心地よさを感じる。
 私の目に映る風景…。
青々と真っすぐに伸びていた 植物が、深々と頭を下げ お辞儀をしている。
 私の体を包む衣服…。
肌の露出部分が少なくなり、生地も木綿から 化繊の物になった。
 時間の間隔にも、意識を向けてみる。
 昼と夜を 天秤にのせたら、日に日に 夜の方へ傾いている。
 太陽と顔を合わせる時間より、月や星達と 過ごす時間が長くなった…。
 夜、草の間で 小さな演奏者が 夜通し 癒しのリズムを奏でている。
月明かりの スポットライトが 演奏者に当てられる。首をたれて揺れている
稲穂にも 月明かりが注がれて 暗やみに浮かぶ。 その色合いが 神秘的な美しさを生み出す…。
そう‥小判の様な輝き。。。。
(950文字)