私、海が見たい


体育館の更衣室。

選手は皆、床に座り込んで、項垂れていた。

監督とコーチが、選手たちを見ながら、


「やっぱり、今年もダメやったか。
 まあ、皆ようやったわ。

 せやけど、今日勝ってりゃ、
 1部の目も、あったんやけどなあ」


「そうですね」


「いつもここまでは来るんやけどなぁ。
 ここからが難しいんやなあ」


「あともう一試合、ありますから、
 まだ可能性は無くなったわけじゃぁ、
 ありませんよ」


「ああ、そやな。
 けど、可能性は、残ってるとは言うても、
 また、他力本願やろ?
 それも、最終試合で、
 甲陽大が負けてくれなあかんのやで。

 こりゃ、難しいわ、ホンマ」


監督は、お腹を撫でながら、


「あー、胃が痛うなるわ」


コーチも、うなずきながら、


「本当ですね」