久美子は、笑いながら、


「あっ、それね。傑作なのよぉ。
 私達のクラスの中でねっ、
 一番背が高い子と、一番低い子が
 中村君だったのよ。
 この二人、仲が良くてね。
 よく、一緒にいたの。

 それでね、いつのまにかみんな、
 大っきい方の中村君、小さい方の中村君
 って言うようになったの」


「へー」


「で、その大っきい方の中村さんに
 会いたいんですけど」


「わかったわ。明日、連絡つけてあげる」


「いえ、私、自分で行きますから」


「あら、そう。わかったわ。
 えーっと、中村君の住所は……
 確か、同窓会名簿に……」


そうつぶやきながら、
久美子は部屋を出て行った。



久美子が居間に戻ってきて、
綾にメモを渡しながら、

「じゃあ、これ。俊明君って言うんだけど、
 住所と電話番号ね」


「そんなに遠くじゃないから、
 明日、場所、教えてあげるわ」


「すみません」


「中村君がどうかしたの?……って、
 何も訊かない約束だったわよね」