恵子は、少し考えてから、

「わかったわ。じゃあ、お父さんとも
 相談しなくちゃいけないんだけど、
 三日したらそちらに行くことにするわ」


「心配しないで。ずっと、
 私のところに帰って来るように、
 約束させたから。
 だから、連絡しないという約束も、
 守っているようにしてなくちゃ、ねっ」


「ありがとう、久美ちゃん。
 でもなんで、あなたのところに……」


「それがね、綾ちゃん、何も言わないのよ。
 あんまりしつこく訊いてもなんだから、
 今はそっとしてるんだけど……。
 恵ちゃん、何か、心当たりは無いの?」


「いえ、全然」


「そう…。
 じゃあまた、時期を見て訊いてみるわ」


「ごめんね。
 じゃあ、迷惑でしょうけど、
 お願いするわ」


「あら、そんなことないわよ。
 綾ちゃん、いい子じゃないの。
 まあ、私に大きな子供が
 できたようなものでしょう?
 私ね、子供の世話っていうの、
 一度、してみたかったのよ。
 私にまかせておいて」


「うん、お願いね」


「また、時々連絡いれるから」


「ありがとう……」


「ええ。じゃあ、おやすみ」


携帯を閉じる久美子。