亜季が、子供用の椅子に座り、
足をブラブラさせながら、
横にある砂糖のビンをつついている。

恵子が、ゆっくりと、

「だめでしょう。やめなさい」


「ハハハ、ええやん」 


亜季に向かって、かわいく尋ねる中村。

「何歳?」


亜季がゆっくりと指を二本立てる。

笑顔で恵子が、

「この前3歳になったところなの。
 だからまだできないのよ」


「いつ帰ってきたのん?」


「きのう。でもまた、
 すぐに帰らなければいけないの」


コーヒーとミルクが来る。

恵子はミルクをとり、フーフーと吹いて、
少し飲んでみる。

「熱いから、フーフーして飲みなさい」 


ゆっくりと言い、亜季の前に置く。

亜季はカップに両手を添え、息を吹きかける

それを見ている中村と恵子。

しばらく沈黙が続く。