私、海が見たい


「ダンナとはうまくいってないのんかな?」


「ううん。そういう訳でもないんだけど、
 まあ、ストレス解消かな?
 一日中子供の相手をしているから」


「ふーん。でもな、これだけは言えるわ。
 夫婦の間のことで、責任が片方にだけ
 あることは、絶対無いって。
 必ず双方に、何らかの
 責任は持っているんやから。
 それを忘れたらあかんで」


恵子は少し黙って、考えたたあと、

「そうかもね……
 でも、独身のあなたから、
 夫婦のことに関する説教を
 聞くとは思わなかったわ。

 以前はそんなこと、
 一言も言ってくれた事無かったわね。
 もっといろいろ言ってほしかったのに。
 そうすれば………」


(今頃、何、言ってんだ)そう思うと、
中村は、皮肉が口をついて出た。

「あの頃は言うたって、
 君にはわからんかったやろうよ」 


そう言うと、恵子はまた少し黙ったあと、

「そうかもしれないわね」 


と、寂しそうに言った。