「……寒っ」 黒とグレーのチェックのマフラーを首にぐるぐると巻きつけ 時折吹く強い風に、 目を細めながらさらにマフラーに顔を深くうずめる。 いつもの帰り道。 今日も俺は、あの路地を通って帰ってきた。 もう、ずっと会ってないな。 道に映し出される影が一瞬 思考を掠める。 店のドアを静かに開けた。 「未来、おかえり」 「……ああ、ただいま」