鼻をくすぐる僅かなアルコールのこの香り。


――ああ、あの日と同じだ。


ゆっくりと……だけど確実に迫ってくる眠気に耐えられるはずもなく。

まだカップに残る冷め切っていないホットミルクを見つめながら。


全然飲み干すことも出来ずに。


俺は眠りに落ちていく。



“確かめてみる価値はある”

意識を手放す直前まで、どうにか記憶を頭に焼き付けながら。

俺は懐かしい夢を見るんだ。