まるで捕まってしまったら “死”を連想してしまうような 命がけの追いかけっこだよ。 「未来……っ」 「し……」 それでも尚、俺の手をきつく握りしめて走り始めようとする美桜。 途端に塀の間にふたつの体を滑り込ませ、 足の間に閉じ込めて、向かい合うように立たせた美桜の口を手で塞ぐ。 もう片方の手は、自分の唇の前で人差し指を立てて。 “静かに” 利口なネコは、一瞬にして声も息を潜めてしまった。 無言の合図を、受け入れた証拠。