「あの…そろそろ本題に入ってくんないかな」


この時間が無駄のような気がしてならない。


すごく勿体無い気するし、なによりいい加減この手を放してもらいたい。

汗ばんできたらやだし。

なんて、それなりに女として思う。



「あんた馬鹿?俺の要件を呑んだら手放してやるっつってんの」


「だから!今あたしが言ったのは、今日呼び出した理由を聞いてんの!」


この男、話にならない。

頭いいみたいだけど、本当はバカなんじゃないの?


話がなかなか通じなくてイライラが募るばかりだ。



「お前が嫌そうに手を見て言うから、親切に言ってやっただけだろ?」



いつも余裕たっぷりのこの男。

話してみたら、全然ガキっぽい。


逆に、話しているとムカムカしてくる。


これで、なんだか一気に目が覚めた。


あたしは、こんな奴を相手になんかしていない。

あたしって意外と影響されやすいのかも。


夢一つで心動かされちゃたまったもんじゃない。


王子はあたしが嫌いで、あたしも王子が嫌い。


少し話したからって、なにも変わりやしないのだから。


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