意地悪王子とお姫様




夕日が照らす。

2人だけの教室 2人だけの時間



あたしは、戸惑って周りを見た。


咲貴君の温かい指先が頬に触れる。



「……誰もいねーよ?」



あたしに覆い被さっている、咲貴君。


「わ、わかってるよっ…。」


恥ずかしくって、どこに目を向ければいいのか分からなくなった。



「どこ見てんだよ?俺だけを見て。」



無理無理無理…!!


なにも言えず顔を真っ赤にしてるあたしを見て、咲貴君が笑った。




――聞いてんの?




瞳に掴まったと思えば、唇を押しつけられた。




「……んん…ふっ…。」


思わず漏れてしまった自分の声にまた恥ずかしくなる。