「…馬ー鹿っ。」


舌をぺろっと出して、咲貴君はどこかへ行った。




「酷い…。咲貴君…、酷いっ…。」



「どうしたわけ?」

ひかるが言う。



「…せっかく書いたのにぃ…。」



咲貴君が最後に手のひらを触ったせいで、すべて見事に滲んでしまった。



「……考えてんなー、アイツっ!!」

そんな私を見て、啓は笑う。



「……いいもん。覚えてるからあ…。」



覚えてる…よ。