意地悪王子とお姫様



そんな啓を見て、急に申し訳なくなった。


けどね…。

「今は…、幸せなんかなれる気しないよ…」


あたしは、いつも泣くことしかできない。


誰かがそばで支えてくれないとすぐ壊れちゃうんだ…。



「いつか、なれるに決まってんだろっ!
思い出にできる日がくる」


啓はそう言って、優しくあたしを抱きしめた。



突然で驚いたけど、なぜか嫌ではなかった。


涙がもっと溢れてくる。



誰かに甘えたかったのかも。


啓は、あたしが泣き止むまでずっと抱きしめてくれた。



分かってあげれなくて、ごめんね。


啓は、あたしの幸せを思って全て教えてくれたのに。



あのまま、気づかなかったらどうなっていたんだろう。


あたし、捨てられてたかもね。