意地悪王子とお姫様





「雨芽、啓のことが好きなの?」


「……え?」



次の日、要君はあたしに会ったらこんなことを言ってきた。



「俺のこと嫌いになった?昨日は、日直で遅かったんだ。ごめんね」


「いいよ、別に…。大丈夫…」



『浮気してた』

昨日、啓に言われたことを思い出した。

嫌な考えが頭をよぎる。



「ねぇ、雨芽…」


「啓のこと好きじゃないよっ…」


とっさにあたしは、言った。



「じゃあ、なんで…」


「要君のこと嫌いになったりしない」



「雨芽、違う…」


「大丈夫…」



「俺の話、ちゃんと聞いてっ!」


「…やだっ…」



「雨芽…?」



あたしは、下を向いて要君の手を握りしめていた。